本の紹介
作・絵 | ジョンクラッセン 作・絵 |
出版社 | クレヨンハウス |
価格 | 1,980円+税 |
サイズ・ページ数 | 20.8㎝×28.8㎝・33p |
読み聞かせの年齢・時間の目安 | 10歳から・5分 |
あらすじ
くまが 大事な帽子を探しています。きつね、かえる、うさぎ、かめ、へび、もぐらに次々に聞いていきます。「ぼくのぼうし どこいったん?」みんなが知らないと言う中、しかに 帽子の特徴を聞かれます。「赤くてとんがってて・・・」と話す途中で、あれっ? うさぎが 被ってたよね?!慌てて うさぎの ところに戻ります。
帽子を取り戻して被っている くまに りすが 尋ねます。「うさぎ どこいったん?」
長谷川さんの大阪弁の訳が効いています。
読み聞かせポイント
- 全体的に淡々と読むと、この話が引き立ちます。
- うさぎが くまに 帽子のことを聞かれて答えるシーンと くまが りすに うさぎのことを 聞かれて答えるシーンがリンクしています。同じように読みましょう。
- 文字は少ないですが間に意味があるのでゆっくり間を意識して読みましょう。
子どもの反応
初めは、なんだこれ?といった感じで見ています。大阪弁が独特で面白いし、帽子を探すくま という小さい子の絵本かな?くらいの気持ちで見ていますが、うさぎが 帽子をかぶっているのを見ると「これじゃない?」「帽子かぶってるじゃん」「なんで気づかないの?」とスルーしてしまうくまに疑問を持ちます。なんなら、くまに 知らせようと声を上げます。そしてスルーするくまに「あー、もう!」「ダメなくまだな」くらいに思っています。
しかに 帽子の説明をするページで「やっぱりうさぎが かぶっていた帽子だ!」と笑いが起こります。
しかし、全部読み終わるとシーンとします。意味がわかり「怖い怖い」「やばいじゃん」という子もいますが、意味がわからず「?」「どういうこと?」で終わる子もいます。「返してもらったんだね」と穏やかに感じる子もいます。その後理解した子が他の子へ解説てくれて、ざわざわして終わります。
読んでみて思うこと
この絵本は赤がポイントになっています。題字の赤。赤い帽子。うさぎのセリフの文字が赤。くまが気づいたページの背景が赤。赤って怖い色だったのね・・・
帽子を取り返したくまがりすにうさぎのことを聞かれます。前の方ページでうさぎが答えていたように
「なんで ぼくに きくん?
うさぎなんか しらんで。・・・」と答えていきます。その中で
「うさぎなんか さわったことも ないで」と言うのです。これは大分まろやかな訳で、原文では
「I would not eat a rabbit.」となっています。eatと言っちゃってますね・・・
ここまでは子どもに言わなくてもいいのかなーとは思いますが、察しの良い「食べたね、これは」と言っている子には目を合わせそっとうなづいています。一緒に聞いてくれた先生に伝えたりもします。知っているとつい言いたくなっちゃうんですよね。
訳は絵本作家の長谷川義史さん(「いいからいいから」の作者)で呑気な関西弁の役に騙されそうになりますがじわじわと怖い話なので、高学年に読んであげたい絵本です。
こちらのe-honナビのホームページで長谷川さんがこの本を訳した時の話もあります。
ぼうしシリーズ絵本
「ちがうねん」「みつけてん」「そらからおちてきてん」
うさぎと くまが 向かい合い、なにも言葉のないページの怖いこと怖いこと