本の紹介
作・絵 | たしろちさと作・絵 |
出版社 | ほるぷ出版 |
価格 | 1,400円+税 |
サイズ・ページ数 | 29.7㎝×23.2㎝・32p |
読み聞かせの年齢・時間の目安 | 4歳から・15分 |
あらすじ
満月の夜、5匹のネズミはすてきな音色に誘われて公園へ行きます。カエルたちの素晴らしい合唱を聴き、自分たちにもできないかと工夫を凝らします。
好奇心旺盛なぐれ、いたずら好きなくろ、おしゃれなしろこ、マイペースなちゃたろう、末っ子のちびすけが織りなす詩的な物語。
読み聞かせポイント
- 表紙をめくった見返しのところに、それぞれの名前が書いてあるので1匹ずつ紹介すると良いでしょう。
- 大きめの本ですが、文字が小さめで色味も薄く読みづらくなっています。物語の雰囲気を壊さないようにだと思うのですが、読みづらいことを意識して読みましょう。(このシリーズの他の本は文字の色が濃くなっています)
- 文章が英文を和訳したようにぎこちなさがあります。(これも、このシリーズの他の本ではぎこちなさはありません)このぎこちなさも魅力だとは思いますが、下読みを必ずしておきましょう。
- 「つきのかなたに つきのかなたに ひびけ ぼくらの おんがくよ」はこの絵本全体を流れるメロディーです。無理に歌わなくても良いですが、歌うように滑らかに読みましょう。
- 少し長いお話ですが、物語の世界に浸るために時間を余裕を持って読める日に読むと良いと思います。
- 子どもたちが落ち着いていなかったり、元気な絵本を求めている時は向いていないので違う絵本にします。
子どもの反応
最初からすぐに物語に引き込まれているのがわかります。なぜか子どもたちにはちびすけが人気で、「ぜんぶで 5匹 なまえは・・・」と名前を読んでいくと、ちびすけの名前が出てきたところで「ちびすけ、だって」と笑いがおこります。自分たちと同じチビちゃんだからかな(笑)。少々長い話ですが、集中して最後まで見ていることができます。
ぐれがカーテンから客席を覗くページで「あっカエルがいる」とめざとく気づく子もいますが、大半はその次のページで気づきます。「あそこにもいるよ」と次々と教えてくれます。
「カエルはダメだよね」と、カエルの演奏会の時のお返しとばかりに言っている子もいますが、ちゃたろうが「みなさん、お越しいただきありがとうございます。」と喋ると何も言わなくなります。登場人物の言葉には素直に従いますね。こんなことからも物語の世界に入り込んでいるのがよくわかります。
最後のページで「いろんな動物がいるね」と声をかけると「うさぎがいる」「鳥もいる」と、どんどん得意げに見つけてくれるのも面白いところです。読み聞かせの後は少しぽーっとしています。その後「あー面白かった」と言ってもらえます。
読んでみて思うこと
絵画のように飾っておきたくなります。外国の絵本のような絵やお話が魅力的です。読み終わると、私も子どもたちも穏やかな気持ちになる不思議な本だと思います。物語の世界に入って行くというのはこう言うことだなーと実感します。ほーっと気持ちよくなる本。5ひきのネズミたちにそれぞれに個性があります。みんな優しくて可愛い。この本は1作目だが、2作目から個性が強く出てきます。物語としてはどれも面白いですが、やはりこの1作目が叙情的で詩的で穏やかな気持ちになり一番好きだなと毎回思います。読み聞かせを聞いた音楽の先生が「みんなで演奏してみる?」子どもたちにと言っていました。ぜひ、実現してほしいです。
5ひきのすてきなねずみシリーズ
「ひっこしだいせくせん」(第16回日本絵本賞受賞)
「まちのじどうしゃレース」
読んでいて私が穏やかな気持ちになる本